甲状腺
「甲状腺」って?
「甲状腺の病気について」
「甲状腺機能亢進症」
「甲状腺機能低下症」
「結節性甲状腺腫」(甲状腺に腫瘍が出来る病気)
「甲状腺疾患に対する検査」
 
● 「甲状腺」って?
前頸部、喉ぼとけの下で、気管に巻きつく様に存在するホルモンを分泌する臓器です。蝶が羽を広げた様な形をしています。 飲食物から摂取されるヨード(ヨウ素)という元素を材料に、身体のエネルギー代謝を調節する甲状腺ホルモンをつくり出し分泌するという大切な役割を持っています。


身体の中での、甲状腺ホルモンの調節

甲状腺ホルモンと甲状腺刺激ホルモン  

甲状腺ホルモンは身体の新陳代謝を調節する役目を 持っています。このため存在する量が多すぎても少な 過ぎても身体に変調をもたらします。  何らかの原因で甲状腺ホルモン量が足りなくなると 脳下垂体から、甲状腺刺激ホルモン分泌を増加させて 甲状腺の働きを活性化させて、甲状腺ホルモンを増や します。 逆に甲状腺ホルモンが過剰になると、甲状腺刺激ホ ルモン分泌を減らす事で甲状腺の働きを弱めてホルモ ンのバランスをとります。


どんな症状があったら、甲状腺の病気を疑いますか?

例えば、 頸が腫れてきた。頸部腫瘤に気付いた。疲れ易い。汗が多い。動悸がする。 皮膚が乾いている。皮膚がかゆい。急に暑がりや寒がりになった。手が震える。 イライラしてきた。急な体重の増減がある。むくみ易くなった。排便異常(便秘、下痢)。食欲の異常(亢進、低下)。物事に対して、意欲がわかなくなって来た。脱毛がある。 健康診断で甲状腺の腫れを指摘された。その他 …

こんな症状が有ったら、ぜひ御相談下さい。
● 「甲状腺の病気について」
(1)甲状腺ホルモンの量が変化する病気、(2)甲状腺内に腫瘤ができて来る病気、(3)両者の合併する病気の3つに分けられます。

(1)甲状腺ホルモンの量が変化する病気
(2)1.甲状腺ホルモンが多くなりすぎる病気(甲状腺機能亢進症)       
(2)1.バセドウ病、無痛性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎、などがあります。
(2)2.甲状腺ホルモンが足りなくなる病気(甲状腺機能低下症)     
(2)1.橋本病(慢性甲状腺炎)、粘液水腫、手術後甲状腺機能低下症、アイソトープ治療後、などがあります。    

(2)結節性甲状腺腫(甲状腺に腫瘤ができる病気)
(2)1.良性のもの・・・腺腫様甲状腺腫、のう胞、腺腫など
(2)2.悪性のもの・・・甲状腺癌(乳頭癌、濾胞癌、髄様癌、未分化癌)、悪性リンパ腫など  

(3)甲状腺にできた腫瘍が、ホルモンを作り出し甲状腺機能亢進を示す病気    
(2)プランマー病(甲状腺機能性結節)
● 「甲状腺機能亢進症」
甲状腺機能亢進症の大多数を占めるバセドウ病について説明します。

甲状腺ホルモン過剰分泌による症状と出現頻度:
汗が多い 約90% 手のふるえ 約90%
疲れやすい 約90% 動悸  約80%
暑さに弱い 約70% やせ 約70%
息切れ 約70% いらいらする 約70%
食欲亢進 約50% 排便回数増加 約50%
その他、身体のかゆみ、喉の渇き、血糖値の上昇、脱毛、微熱等があります。


バセドウ病( Basedow 病、別名 Graves 病)  


上記の機能亢進症状の他に、バセドウ病に特有な症状と出現頻度です。
甲状腺の腫れ 約80% 眼症状 約40%
バセドウ病とは、自分の身体の中で、自分自身の甲状腺に対して攻撃をする自己抗体を作り出し、甲状腺ホルモンの過剰分泌を生じて症状が出現する病気です。 特有の眼球突出(内分泌性眼症)や複視(物が二重に見える)等の症状を発症する事があります。

治療法は大きく分けて3つありますが残念なことに、いずれもバセドウ病の根本的原因を治療できるものではありません。 また、どの治療を選ばれ「しばらくは治療を必要とせず、定期的な経過観察だけで良い状態(寛解と言います。)」になっても、時にバセドウ病の原因物質が急激に増加して病気が再発、再燃する場合があります。
● 「甲状腺機能低下症」
甲状腺機能低下症の代表的疾患である橋本病(慢性甲状腺炎)について説明します。

甲状腺ホルモン分泌不足による症状
出現頻度はホルモン不足の程度により変化しますが・・
皮膚乾燥 約90% むくみ 約90%
寒がり 約90% 頚部違和感 約80%
便秘 約60% 体重増加 約60%
脱毛 約50% 食欲低下 約40%
動悸 約30%    
その他、疲れやすい、舌の肥大等

上記の症状の他に橋本病に特有な症状
甲状腺の腫れ 約 90%

橋本病(慢性甲状腺炎)


自分の身体の中で、自分自身の臓器である甲状腺に対して攻撃をする自己抗体を作り、甲状腺に慢性的な炎症を生じ徐々に甲状腺細胞を破壊し、最終的には甲状腺ホルモンの分泌不足を生じます。   橋本病による甲状腺細胞の破壊に対して、根本的な原因治療は行えません。 しかし必要量のホルモンを内服していただく事で安全に治療でき、病気がない方と同様に生活をすることが可能です。
● 「結節性甲状腺腫」(甲状腺に腫瘍が出来る病気)

甲状腺腫瘍については、大きく3つに分けられます。

(1)良性腫瘍  :腺腫、腺腫様甲状腺腫、のう胞
(2)悪性腫瘍  :高分化癌(乳頭癌・濾胞癌・髄様癌)、未分化癌、悪性リンパ腫
(3)機能性腫瘍 :プランマー病

甲状腺腫瘍としての症状は、多くの場合では無症状です。腫瘍が増大してくると頚部腫瘤に、ご自身で気が付いたり身の周りの方から指摘されたりする事が多い様です。

● 「甲状腺疾患に対する検査 」
(1)甲状腺の働きを調べる血液検査
(2)1.甲状腺刺激ホルモン( TSH )   
(2)1.甲状腺刺激ホルモンは脳の下垂体から分泌され、甲状腺の細胞に働いて活動を高めるホルモンです。
(2)2.甲状腺ホルモン( T3,T4 )
(2)1.甲状腺が作り出すホルモンで、 T3( トリヨードサイロニン ) と T4 (サイロキシン)があります。

(2)甲状腺の働きに異常がある場合に、原因を調べる検査(自己抗体検査)
(2)1.抗甲状腺サイログロブリン抗体( TgAb )、サイロイドテスト
(2)1.甲状腺ホルモンの前駆体であるサイログロブリンという糖蛋白に対しての自 己抗体を調べる検査です。
(2)2.抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体( TPOA b)、マイクロゾームテスト
(2)3.甲状腺組織のマイクロゾーム成分に対しての自己抗体を調べる検査です。
(2)3.TSH レセプター抗体( TRA b)、 TSH 刺激性レセプター抗体( TSA b)   
(2)3.甲状腺機能亢進症の代表的な病気、バセドウ病の原因物質と言われています。

(3)甲状腺超音波検査
甲状腺の大きさ、腫瘍の有無などを調べる検査です。甲状腺内に腫瘍が存在する場合、腫瘍の大きさ・形などの所見により良性・悪性の鑑別ができます。 悪性腫瘍の場合には周囲リンパ節の腫大など詳しい観察に用います。

(4)頚部レントゲン検査:甲状腺腫瘍が石灰化を持っているか、またどの程度気管などの周囲臓器に圧迫などの影響を伴うかを観察できます。

(5)穿刺細胞診:腫瘍に細い注射針を穿刺し、腫瘍の細胞を採り悪性細胞の有無を調べます。小さな腫瘍ではエコーで観察しながら行うこともあります。
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